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まっつぐ-3

2015.09.18 12:19|恋愛


「先輩、とりあえずこっち向きませんか? 四日間も先輩に会いに来なかったから、顔見たいんですけど」
その言葉に、顔に一気に血が集まる。
「あ、耳まで真っ赤。可愛いですね」
いちいち指摘してくるのが、ムカツク!

「ホントもう、いい加減にして。無理なの、無理だから!」
「そんな事言われても、納得いかないものはいかないし」

じゃり、と靴底がコンクリを擦る音。
自分が大きな影の中に入った事に気が付いて、肩を竦めた。

「ねぇ、先輩。好きが信じられないんならさ、僕……ってか面倒くさい。俺の事は信じられない?」
……俺?
この子から初めて聞く一人称に、どくりと鼓動が高鳴る。

「これでも結構頑張ってアピールしてたんだけど、しかもちゃんと通じてると思ってたんだけど。土壇場になって拒否られるとか、凄いショックなんだけど」
「……ごめんなさい」
「いや、謝るくらいなら理由をね? っていうか、受け入れてくれると嬉しいんですが先輩」
……凄い強気に感じるのは、なぜ。

「理由は、言いたくない。言いたくないけど、誰かを好きになるのは怖い。それが君なら、もっと怖い。だから、ごめんなさい」
「俺ならもっと怖い? それは、なんで?」
なぜ……? それは……

何も言いたくないと、突っぱねたかったけれど。
きっと、この子はそれじゃ引き下がらない。
反対だ。
引き下がるどころか...

――だから。


「……君の、その目が……苦手」
「は? 俺の目?」
今も向けられていると思うと、怖くなる。
「真っ直ぐに、向けてくるその目が」
自分の心の汚い部分を、見透かされそうで。
そして……
「私を、追い詰める」

細くなっていく声音に、自分の弱さが見えて嫌になる。
ぎゅっと目を瞑って、フェンスを掴む指に力を込めた。
君だから、嫌なの。
君だから、私は


――もう、裏切られたくない


「追い詰めるって、さ」

びくり、肩が震えた。
思った以上に誓いさ場所から聞こえた声に目を開くと、自分がすっぽりと影に入っている事に気づいた。
「追い詰めるんならさ、物理的の方が俺的には嬉しいんですけど」
「や……っ」
耳元近くで言われた言葉に、これでもかと身を竦めた。
フェンスに自分以外の力がかかって、ぎしりと軋む。
「……結構、楽しいかも?」
「からかわないでっ!」
そう叫べば、さっきよりも背中に感じる体温が高くなった。
「からかってなんかいませんよ。いつもと違うテンパってる先輩見るのは、新鮮でドキドキしますけど。素の先輩、かわいーですね」
嬉しそうな声音のその言葉に、ぎゅっと心臓が高鳴った。

素の、私……?
あの人が嫌だといった、素の私が??


胸に広がる嬉しさを表に出さない様に、目を伏せた。
「……も、お願いだから……」
私を放っておいて。
これ以上、君を……

「好きだから、無理です」

「やめてってば……!」

「やめませんよ、先輩」


ふ、とフェンスから彼の重みが消えて、次の瞬間くるりと体の向きを変えさせられた。
しゃがみ込んでいた私は体の動きに追いつけなくて、そのままぺたりとしりもちをつく。

背中にはフェンス。
目の前には、後輩。

少女漫画の様な展開に、顔が真っ赤になっていくのが分かる。

こちらを見下ろす後輩は、じっと私を見つめていた。
思わず、見返す。
至近距離で見る、私が映る彼の目。


「俺を拒絶しながら、それでも縋るような目をしてるの、気付いてます?」


「え……?」


いきなり言われた言葉に、言葉を失った。


「俺を拒絶してるのに、自分から諦めたような悲しい顔してる」


こくりと、つばを飲み込んだ。

隠しているはずの心が、彼には透けているという事?

何も言えないまま見上げていた私を、彼は両手を伸ばしてその腕で包み込んだ。
暑い気温の中、汗ばんだその腕は思ったよりもひんやりとしていて。


「俺だって、結構テンパってるんですよ。こんな事して、余計嫌われないかとか。結構恥ずかしいとか」

でも――

そう呟くと、私の背中に回した腕に力を込めた。

「なんだかんだ言って、先輩が俺の事好きなの分かったんでもういいです」
「……っ、なっ!」
何でそんな事……!!
「先輩は、言葉にするよりもその目で教えてくれますからね。その真っ直ぐな視線、俺、好きなんです」

「……まっすぐ……な?」

この目が、好き?
じっと見つめられると凄く怖いと、義母に言われた私の視線が?

「う……」
「嘘じゃないですよ」
彼は私の言葉を遮るように、きっぱりと言い放った。

「何を抱えていて、どうしてそんなに”好き”の感情を否定するのか知りませんが、そんなのどうでもいいです。俺は……」

少し体を離して、彼はじっと私を見つめた。

「真っ直ぐに俺を見てくれた、あなただから好きなんです」



――ぽろり、涙が零れた。











「ちょっと、まだぁ?」
「すみません、も少し待ってくださいっ」

貸出カウンターの前に並んだ行列を視界に入れない様にして、カードにハンコを押していく。

あいつら、早く帰ってこいーーーーーっ!!




二人がいなくなった後の図書室で、一人奮闘する加倉の姿。
そんな加倉に二人が怒られるのは、もう少し後のお話。







「あのさー、あんたたちが少女漫画シチュやってんのはいいんだけどさ。その間も、世間様の時間は進んでいるんであって? 二人だけの世界とかなじゃいわけで?」

「ごめん、加倉」

「そのしれっとした謝罪が、心に伝わると思うかぁぁっっ!」 


                                                                 ――了

コメント

ああ。

懐かしいこの感じ。
なんだろ、ああkauさんだって感じ。
ふわっと暖かくなるこの感じ。
そしていい年のオッサンが読んでいてちょっと照れちまうこの感じ。笑
まっすぐですね。
瞳にはすごく不思議で強い力が宿ってると思います。
瞳は口ほどにものを言う。
これ、ベリーズで少し前にやっていた「壁ドン短編企画」に応募して欲しかったなあ!

いいですね。目指せ更新!
グッジョブです。
仕事が速いです。最高です。

おかえりなさい♪

僕には野いちご(とうかベリーズ)とブログの二足の草鞋は無理だともう何年も昔に悟ったので、ブログの更新は英国見聞録の世界展のみになると思います。そのかわり、ベリーズの方では無理のない範囲で活動を続けてますし、ブログに書き込まれたコメントはメールで届くようになっているのでまたいつでも遊びに来て下さいね。

>楓さん

楓さん、さっそくの読破&嬉しいコメさんをありがとうございます!!≧▽≦

>ああkauさんだって感じ。

この言葉、すんごく嬉しいです♪

楓さん照れさせたぜ(▼∀▼)bヤッター!
書き終えた後見直すとすんごい恥ずかしくなるんですが、それでもやはりkazuは万年妄想お花畑が大好きなようです(笑

ベリーズって、そんな企画があるんですね。
野いちごちゃんのID/パス忘れてほぼ向こうにいってなかったので、知らなかったとです。
そのうちベリーズにちゃっかり居ついてるかもしれませんので、その時はよろしくお願いします~♪


帰ってきました!
きっかけをくださって、ありがとうございます。
また遊びに行きます!!



楓さん、お仕事お疲れ様です。
3.11から、楓さんのお仕事関係は本当に大変だったと思います。
そしてこれからも、大変ですよね。
ご体調にはお気をつけて、頑張ってくださいね。

お久しぶりです♪

すごくすごく久しぶりにブログを開いたちゃちゃです(笑)kazuさん、お元気ですか?^^
以前、ご心配のコメントを残してくださってまして…すみません、今日拝見しました(>_<)お優しい心遣いをありがとうございました☆こちらは元気です!

懐かしい、kazuさんの小説読ませていただきました。
楓さんと同じく、あぁ、kazuさんの作品だなぁとしみじみ思ったわけでして…
もっと背景を知りたいな、この二人は今後どうなっていくんだろう?という好奇心がむくむくと湧き上がりました(笑)

今、6年ぶりに第二子を出産し、久々の育休中です^^
しかし上の息子が新1年生になることもあって、思いの外バタバタな毎日です^^;
また私も筆をとれたらな…なんて思いつつ(笑)

ずっとこうやって、kazuさんたちと繋がっていれたらいいなぁと願って止みません♪

暖かくなってきました。体調には気をつけてくださいね^^

ちゃちゃさん!!!

ちゃちゃさんだぁぁぁぁ!!!

お久しぶりです、ちゃちゃさん^^
お元気との事、それはよかった≧▽≦
私も元気です♪ 
ちょーっといくつか病気が見つかってしまって通院しているのですが、命に別状があるわけでもなく、「数値悪くなるとね……、太るよ」という医師の訳分からない脅迫により(笑)、カロリー制限などしながら生きております♪
食べるの好きなのにぃぃ(੭ु´・ω・‘)੭ु⁾⁾
でも、普段はいたって元気に過ごしておりますのでご安心ください☆

お話、お読みいただきありがとうございます♪
私の作品って言ってもらえて、本当に嬉しいです。
そしてそして好奇心いただきました≧▽≦
いつかちゃんとしたお話として書ければいいな~と、思います。


おぉ! お二人目のお子さんの育休中なのですね。
遅ればせですが、ご出産おめでとうございます!(*´∇`*)
わーい、こんにちは~☆
kazuおねーさんだよ~~~おねーさんだからねぇぇ~←埼玉からお子さんに念送り中(笑

上のお子さんはもう小学1年生なのですね。
時が経つのは早いなぁ♪ 
お時間が取れた時に、ちゃちゃさんのお話、読ませて頂ければな~っと思います。無理はなさらずなのですよ^^

春爛漫ですね。 
ちゃちゃさんも、育児大変だと思いますが体調にはお気をつけて頑張ってくださいね。

ここで出会えた皆様と、これからもずっと繋がっていけますように^^
コメント、ありがとうございました!
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kazu osino

Author:kazu osino
名前  kazu osino
生息地 関東のとある家。
英語の苦手な、ちゃっかり主婦。
ブログ内記事、文章は無断転載
転用禁止にさせていただきます。
する方、いないと思いますが。
よろしくお願いいたします。

…プロフの画像を載せる事によって、
お金が入ってきたらいいなとか
お、思ってないんだからっ(笑

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