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2012.03.25 13:53|さくら、きみに、さく
石碑まで戻ってきた佐久間は、上着から携帯を取り出していた。
警察か学校に連絡するべきだ。

この一本道で、美弥がいなくなるなんて事考えられない。
なら、道を間違えたか何かあったか。
どちらにせよ石碑を見つけたならそこにいるはずだから、ここに辿り着けなかったと考えるべき……。


そこまで考えた時、佐久間の視界の端に見慣れたものが映った。
「……」
どくりと血の気が引くような、そんな感覚に陥る。

「……これ、美弥の?」

手を伸ばしてそれを拾い上げると、掌にのせてじっと見る。

黒の、髪留め。
クリップタイプのこれは、確か美弥の祖母である偲が彼女に上げたものだったはず。
いや、でもありふれた形のありふれた色。
美也の物だと、確信はない……けれど。


もし、美弥のだったとしたら。
ここに辿り着いたのに、ここにいない……?


それは?


「美弥! 近くにいるのか!?」

佐久間の声が、辺りに響いた。






「? 主様?」

その頃、ももの愚痴を聞きながら喋っていた美弥が、隣に座る青年を見上げた。
なんの前触れもなく、立ち上がったのだ。

青年はある一点をじっと見つめて、それから美弥へと視線を移した。

「君を呼ぶものが、外にいる。心当たりはあるかい?」
そう言って、右の掌で美弥の目を塞いだ。
途端、飛び込んできた光景に驚いて声を上げた。
「佐久間!」

それは、美弥の名前を呼ぶ佐久間の姿だった。
美弥の声を聞いて、青年はその右手をどかす。
「君の知り合いなのだね。ならば、送れる」
そう言うと、しばとももが何か言いたそうに美弥と青年を交互に見つめた。
どうしたのかと声を掛ける前に、青年が二人に声を掛けた。

「きちんと送り届けてきなさい」

「……主様」

ももが口を開いたけれど、それを無言で青年は止めた。
しゅんと肩を落としたももの頭を撫でると、青年は美弥を見た。

「悪かったね、巻き込んでしまって。さぁ、二人に送らせるから戻るといい」
ふわりと体を、温かい何かがつつむ。
そして背に手を添えられた時、美弥は慌てて青年の腕を掴んだ。

「名前は? あなたの名前!」
驚いたように目を目を見開いた青年は、小さく頭を振った。
「もう、二度とここに来てはいけない。しばとももがもし何か言ったとしても、駄目だからね」

添えられていた手が、とん、と軽く美弥の背を押した。


途端。



「うわっ?!」


足が地面から浮いたような感覚。
そしてすぐに感じた、空気の抵抗。
ここに来た時と同じ、ゼリーの中を進んでいるようなそんな状況で。


最後に見えたのは、じっと美弥を見つめていた青年の姿だった。



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Author:kazu osino
名前  kazu osino
生息地 関東のとある家。
英語の苦手な、ちゃっかり主婦。
ブログ内記事、文章は無断転載
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よろしくお願いいたします。

…プロフの画像を載せる事によって、
お金が入ってきたらいいなとか
お、思ってないんだからっ(笑

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