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2011.09.28 10:09|さくら、きみに、さく
「ここら辺だったよねぇ」
美弥は口元に指先を当てて、辺りに視線を巡らせた。
頭にインプットした地図は、至極簡単で単純なもの。
一本の曲がりくねった道沿いに、いくつか石碑が記されているだけ。
いや、裏を返せば石碑沿いに道が作られたということなんだろう。
美弥は、注意深く草むらに視線を向けながら足を進めていた。



木花のじーちゃんが噛んで含めるように言っていた言葉を、美弥は脳裏で繰り返す。

“山の奥には入るな”

この町の人なら、誰でも知っている言葉。
山の奥に入り込んではいけない。
この町で生まれた人間なら幼い頃から言い聞かされる言葉だけれど、他市から越して来た美弥にとって実はあまり馴染みが無かった。
たまに聞くその言葉を今までは人事のように聞き流していた美弥だったが、希一の様子を見て好奇心を抱いてしまったのだ。


「あ」
美弥は小さく声を上げて、靴底で砂利道を蹴った。
目の端に映った、背丈の半分ほどある石の“何か”に一目散に駆け寄っていく。
「これだ」
鬱蒼と生い茂る草、日を遮る木々の下に、目指すそれはあった。
ただ佐久間といくつか見たものとは、少し形状が違っていたけれど。

「何かの、門?」

目の前に立ち止まって、不思議そうに首を傾げる。
他の場所には長方形の石碑が一つあるだけだったのに、なぜかこの場所は細長い石が二つ、それも間を空けて地面に突き刺さっているのだ。
まるで、何かの通り道のように。
美弥は手を伸ばして、右側の石に指先で触れた。
冷たい風に晒されていたからか、ひんやりとしたその石をゆっくりと指先でなぞっていく。
他の石碑には、何か文字が彫られていた。
佐久間が邪魔でよく見る事ができなかったけれど。
けれど、何か正面に彫られていたのだ。
しかし、この石には何もない。

胸の辺りまであるその石の側面を見ようと上半身を屈めると、内側に何か彫られているのがやっと見えた。
「お、あったあった」
ずっと気になっていた、石碑に彫られた文字。
やっと拝めると、美弥はにんまりと笑いながらもう片方の石に手を付いて、石の間に身体を入れた。


――見つけた!


「……え?」

いきなり頭の中に響いた声に、驚いて顔を上げる。
その途中左側の石に髪を纏めていたクリップが当たって、曲がってしまった。
引っ張られたような痛みに眉を顰めながら、美弥はそれを外した。
ばらりと背に広がった黒髪が、微かに風で揺れる。

美弥は怪訝そうに当たりを見渡しながら、頬に触れた髪を指先で耳に掛けた。

「今、何か声が聞こえなかった?」
一人呟いても、答えが返るわけでもなく。
美弥は首を傾げながら、もう一度刻まれた文字を読もうと石に手を置いた……その時。


――見つけたわ!


途端、再び頭に響く声。
「え、誰?!」
声を上げた美弥の目の前に、突如湧いたように二つの白い影が浮かび上がった。   
驚いて身を引こうとしたけれど両腕をいきなり引っ張られて、美弥は目を見開く。
白い影から、にょきりと生え出た様な四本の子供の腕。
二人分の幼いその手が、がしりと自分の両手を掴んでいるのだ。
「や、ちょっと何これっ」
流石に好奇心とか言っている場合ではない。
背筋にいいようのない震えが足元から這い上がってきて、体が強張る。
それでも懸命に掴まれた自分の手を取り戻そうと、美弥は足に力を込めたけれど。


――せーの!


そう声が聞こえた瞬間、美弥の視界が白一色に塗りつぶされた。



8 10
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テーマ:自作小説
ジャンル:小説・文学

2011.09.24 16:28|短編
strobe」の楓さん開催の「掌編小説のススメ」に参加しました^^
第3弾。今回のテーマは「描く」

描く。
すぐに思いついたのが、「夢を描く」
今回は以前の短編とは違い、背景・設定をほとんど書きませんでした。
ひたすら「僕」の心理描写。

毎度の事ながら、難しいけど楽しいです~^^




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テーマ「描く」




子供の頃、空は遠かった。
懸命に手を伸ばしながら、それでも僕は信じていた。
大人になれば、もっと近づけると。
空に描いた夢に、もっと近付いていると。





「何考えてるの?」
公園のベンチに座って空を見ていた僕の横に、ちょこんと恋人が座った。
僕は一度目を伏せて、ゆっくりと視線を移す。
「何も?」
そう笑うと、彼女は口を尖らせた。

「悪い癖ね。悩んでる時に限って、隠そうとするの」
真っ直ぐに見つめてくる彼女が愛しくて、辛い。
「本当に何も……」
自分に言い聞かせるように呟くと、彼女はびしりと人差し指を僕の目の前に突き出した。
「私に嘘をつきたいのなら、もっと精進してからになさい」
勢いのまま声を上げる彼女が可愛くて。
表情一つ隠しきれない自分が情けなくて。

空を、見上げる。

「空は、遠いままなんだ」
ぽつりと、呟く。

「子供の頃は、大人になれば近付けると思ってた」
描いていた、夢に。

「けれどね。今は、子供の頃の方がもっと近かったように思える」

あんなに声を上げていた彼女は、今は何もしゃべらない。

心地良い空気に、目を瞑る。

「一生を共にする幸せを目の前に、夢を描く君を見て僕は気付いた」
素直に未来を描く、君。

「僕にも、夢を素直に描けた頃があったはずなのに。どうしてか、今は難しい」
打算や計算、自分の負うべき責任。
今の僕は、そんな土台の上にしか夢を描けない。

それ以上に――

「諦める事に慣れてしまった。いっそ、描かない方が正しいとさえ思ってしまう」
手にできない、落胆を味わうくらいなら。

「こんなにつまらない人間だったのかと、今更気付いただけなんだ」

そんな僕が君の傍にいていいのかな、と。




彼女は、全てを聞いて。

「落胆を味わってこその、夢じゃない。少しの努力で叶うなら、それは目標よ」

少し考えるように、瞬きをして。

「自分の負うべき責任? 私を馬鹿にしないで貰いたいわ。夢を持てない程の責任を、あなた一人に負わせるつもりなんてない」

そして彼女は、笑うのだ。

「大体、あなたが劣等感に苛まれるなんて阿呆の極致ね。私が夢を描けるのは、あなたが傍にいるからなのに」

「僕がいるから?」

「そう。あなたがいてくれるから」

じわり、何かが心に広がった。

僕が一言えば、君から十は言葉が返ってくる。
僕が一つ気持ちを零せば、君はそれ以上の心をくれる。

「嫁になるからには、一蓮托生よ。」

彼女は微笑むと、僕の手を掴んで空へと伸ばした。

「ね、描いてみて?」

私の傍で、あなたの夢を――




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男性版、まりっじぶるー?


お読み頂き、ありがとうございました^^

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2011.09.03 14:23|雑記
今年も無事バイト終了したkazuです、どもです。
何事もなく終われてよかった。
数年前は、指を思いっきり切って終了だったもんね。

そして「ご苦労様」のバイトちゃんには、やっぱり「ご苦労様」といわれましてございます。
うん、やっぱり知らないんだろうな。使い分け。
そー思うことにしました(笑

そして暇になるぜとか思っていたのに、再び親父から頼まれごとがやってきた……
まってたな!? 私がバイト終わるの待ってたよな?!
この後、また短期に応募するつもりなんですけどね(笑
まぁ、いいや。頑張るよ。


知人が遠くに引っ越すらしく、久々に連絡貰いました。
結婚してそんなに経っていないから不安がってましたが……、確かに。
それまで親元で暮らしてたから、不安ですよね。うん。
なんで一人で暮らせたの? と聞かれたので、仕事だったからと答えたらなんか微妙な顔されました(笑


私は結婚してすぐ、山口県で暮らしていました。
国道2号沿い。岩国城最高♪
しばらくして引っ越したんですけど、夏だって言うのにエアコンのない南西向きのアパート。
冷蔵庫を買ったとき、搬入してくれた電気屋さんに「冷蔵庫よりエアコンだよ……。外のが涼しいって」といわれたほどの暑ーいアパート。
会社の借り上げだったので、勝手に付けられなかったんですけどね。

仕方なく暑くなる前、午前中から逃げてました(笑

その際どこに行くといっても限られているので(一度勝手に久留米に昔の仕事場見に行ったら怒られた)、大体図書館か大型スーパーか。

で、その大型スーパー、ゆめタウンというところだったんですけど、五時から音楽流れるんですよね。
「ご、ご、ご、ごーじからいち♪」
五時から始まる夕方市の歌。
あと、ゆめカード5倍デーの日。
「ゆめカード5倍~、なんて素敵な響きだわ♪」

もうね、未だに耳から離れない。
たまに旦那と歌ってたり(笑
しかも、まだカードあるし。



あの頃、スーパーとか図書館とかで全く知らない人としゃべってたけど、埼玉県出身というとクレヨンな男の子の話で盛り上がれたのである意味よかった(笑

テーマ:日記
ジャンル:小説・文学

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Author:kazu osino
名前  kazu osino
生息地 関東のとある家。
英語の苦手な、ちゃっかり主婦。
ブログ内記事、文章は無断転載
転用禁止にさせていただきます。
する方、いないと思いますが。
よろしくお願いいたします。

…プロフの画像を載せる事によって、
お金が入ってきたらいいなとか
お、思ってないんだからっ(笑

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