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2006.08.31 19:06|いつか見た あの場所で

キィン・・・

高い、音。
親書を開いた途端、部屋に響き渡った。

「呉羽様!!」

コウが呉羽の元に駆け寄る。
しかし、直接触れることは出来ない。

葉影が、目の端を上げて呉羽を見ていた。

「呉羽殿、居心地はいかがですか?界王と私の合作の術ですよ。」

薄青い、透明なガラスが、呉羽を覆っていた。
手をひろげれば、届いてしまうほどの空間しかない。
呉羽は、思い切り、ガラスをたたいてみた。

「・・・・」

びくともしない。反対に、少しからだから力が抜ける。

「これは・・・。」

ガラスを割ろうとたたき続けているコウを、止める。
「おやめなさい、コウ!これはどうにもなりません。」

コウは呉羽の言葉を聞かず、たたき続けている。

「そのガラスは、空間を遮断する物。その中は、こちらから見えますが別空間になるのです。」

葉影は楽しそうに、自身の術の素晴らしさをかたっている。

「呉羽殿が割ろうとしても、外から割ろうとしても無駄です。ガラスに触れるだけで、力を消耗するようにしてあります。」

「くれ・・・は様・・・。」
コウが一言呟いて、床に崩れた。
膝を突き、肩で息をしている。

「コウ、しっかりしなさい。大丈夫ですか?」
呉羽は、ガラスの中でしゃがみコウを見る。
コウは、少しかすんでいるのか目をしきりにこすっていた。
「呉羽様・・。」
呟く力しか、残っていないらしい。
呉羽は、とりあえずは命に別状なさそうなので、ほっと胸をなでおろした。

「呉羽殿。我と共に、界王のもとにいっていただきます。」
「なぜ、私が。」
呉羽は、葉影をにらみつける。

葉影は、楽しそうにいった。
「もうそろそろ、人界への侵略の準備を本格的に始めます。そこであなたが余計なことをしてくれると、困るんですよ。」

なっ、もう?侵略が目前に・・・・。
目を見開いて、呉羽は言葉をなくした。
もう少し先かと・・・。
しかし、聞かなければならない。

「余計なこととは?」

葉影は呉羽に近づいた。
「余計なこと、ですよ。私達を倒す為に、秘密裏に何かされても困りますからね。私共の占星術師が、救世主が現れると予言したんですよ。もちろん、そちら側のね。」

・・・それで、来たのね・・・。この宮に・・・。

「まだこの世界には出現していない様子。その前にあなたを確保してしまえば、現れることさえ出来ない。」

呉羽は、表に出さないよう、安堵のため息をついた。
・・・水鏡の力、護ってくれたのねあの方達を、私の術を。

「さぁ、呉羽殿。参りましょう?界王のおわす都へ。」

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2006.08.30 09:31|いつか見た あの場所で

             <<<第4章 封印宮の謎 Vol.1>>>


「呉羽様・・・?」
コウが小声で呟く。
「・・・。」
言葉も出さず、背筋を伸ばした。

呉羽の宮は、別名沙窮の宮(さきゅうのみや)とも呼ばれる。
四方を砂漠に囲まれ、近くの栄えている町まで行くのにも、とても時間がかかる。

呉羽の部屋の隣、謁見の間で呉羽は葉影と対峙していた。
時々襲う、貧血のような症状と戦いながら。

・・・やはり、術力を使いすぎたのかしら・・・。
遠野を湖に送り届けるだけではなく、その後男4人を南の封印宮まで飛ばす。
力は持ったのかしら・・、あの方たちは無事にたどり着けたのかしら・・・。
心配は際限ない。
呉羽
の腕には、まだ遠野が掴んだ感触が残っていた。

「呉羽殿は、お疲れの様子ですね。」
葉影が、おもむろに言った。
全身黒の服に身を包み、顔さえも布で覆い隠している。
声は布でくぐもって、本当の声色は分からない。

「そうね、今神の力を受け取れない私ですから。体調は、よくないですわ。」
ぎりぎりの線で、言葉を交わす、二人。
コウは少しはらはらしながら、二人の会話を聞いていた。

いつもこうだから・・・、このまま何も起こらず、帰ってくれればいいんだけど。
葉影の表情は、分からない。
呉羽は、笑いながら冷たい視線を返している。

「そうですか。何やら術を使った後のお疲れのように見受けましたが、気のせいですかな。」
「そうですね、気のせいです。突然訪ねてこられれば、万全ではない体調でお迎えせねばならぬこともありましょう。」
葉影が、肩を軽く揺らして笑う。
「いつもどおり、手厳しいお言葉ですね。守護神 呉羽殿。」
私はこんなに敬意を払っておりますのに、と笑った。
「そう?私も十分払っているつもりよ。葉影殿。」

「それで、何か御用ですの?突然、こんな訪れ方をして。先触れもなしに。」
やっと核心を突く。
それが知りたい。なぜ、この時期に・・・このタイミングに葉影が着たのか。
「用がなければ、こちらに参ってはならぬと?」
話がそれる。
「そうね、嬉しいものではないわ。突然のあなたの来訪は。私の機嫌が悪くなります。」
「封印宮・・・。」

・・・っ。
内心ドキッとしながら、呉羽は努めて表に出さない。
「南の封印宮付近の森に、昔の敗者の残党がいるという話を聞いたもので。」
残党・・・。
「呉羽殿は思い当たること、ありませぬか?」
「ありません。」

即答。
葉影は、楽しそうに笑っている。
「呉羽殿、まぁいいでしょう。まぁあとは、界王の使者としてまいったのですよ。」
「禪の?」
葉影は頷き、封筒を呉羽に差し出した。

「お開けください。界王からの親書でございます。」
「・・・、開けろと・・・?」
葉影からコウが受け取り、呉羽に差し出す。
呉羽は、その親書からただならぬ気配を感じた。
「そう、開けていただきます。」

ピィン・・・・

葉影から、一種の意識の波が広がる。
・・・術力・・・
葉影の視線は、呉羽から動かない。
コウは動かず、にらみ合う二人を心配そうに見つめている。
「・・・そういうこと・・・ですか。」
「そういうことです。」
二人だけにしかわからない、会話。

ここで開けなければ、葉影はこの宮を攻撃すると・・・。
コウを見上げる。コウはわけもわからず、呉羽を見ていた。
今の私では・・・、護りきれない・・・。

封筒に目を移し、ペーパーナイフで親書の口を切った。
途端、コウの叫び声。

「呉羽様!!」

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2006.08.29 11:19|いつか見た あの場所で

俺達は、細かい泡が無数に広がる水の中を抜けていった。
前には、烈・遠野が先を行き、んで、俺。
斜め後ろ辺りに沢村がいる。
なんだかちっとも息が苦しくない。
遠野も、今この中を抜けてきたってことだよな・・。
浮遊感にゆられ、なんだか気持ちがいい。
・・・・・・
「・・・!!!!」

声にならない声を叫ぶ。
慌てて、沢村の洋服の端を持った。
沢村が気付いて俺を見る。
なに?という、怪訝そうな顔。
俺は、沢村の足元のほうを指差した。

沢村が、目を見開き俺に手を伸ばす。

一番最後尾を抜ける沢村のすぐ側まで、暗闇が迫ってきているのだ。
ほんの5.6m位しか、間がない。
遠野の足を引っ張る。
遠野は迷惑そうに振り向いたが、沢村のほうを見て慌てて烈の服を引いた。
伝言ゲームのようだ、言葉なしの。
俺は沢村を腕の力で引き寄せると、遠野の手に沢村をゆだねた。
烈が俺に手を伸ばす。
俺はその手を掴もうと・・・・

「ぐぼ・・・っっ。」

途端、俺の体が大きな空気の塊に押し上げられた。

「・・・・!」
みんな言葉はないが、水の流れに抵抗して俺のほうに手を伸ばす。
「・・・・」
しかし、流れは強く、そして早く、どんどんと離れていく。

俺は空気に押され、そのまま上方に体が押し上げられていった。


「ぶはっ!」
南の封印宮の近くにある湖の中心に、沢村・遠野・烈は浮き上がった。
辺りを見渡す。
「相馬!そーちゃん!!」
遠野が叫ぶ。しかし、烈に口を押さえられた。
「客人、静かに。ここは、宮の周りと違って・・・物騒だから。」
烈の手を振り払う。
「相馬は?相馬はどうなったんだ!!」
烈は言うことを聞かない遠野の首に自分の腕を引っ掛けると、沢村に岸に行くぞと指示した。
沢村は足元を見ていたが、素直に岸へと泳ぐ。
遠野はその間中も、暴れている。
「烈っ、答えんかい!」
烈は何も言わない。そのまま岸に上がり、遠野から離れた。

「烈!」

遠野の声。烈は地上に上がると、服の水を絞った。

「客人。そう叫ぶな。相馬殿がどこに行ったかなんて、俺に分かるわけないだろう。」
「そんなっ。」
沢村が烈に食いつく。
「じゃぁ、どうすればいいんですか?!相馬さんを助けるには・・・!」
烈はそんな沢村を見て、頭に手をやった。

「分からないが、心当たりはある。」
「どこ?!」

烈はその言葉に、つぃっと手を上げて指差した。

「あそこ。」

烈の指差す先には、うっそうと茂る木の中に古ぼけた建物が顔を出している。
距離で言うと、結構ありそうだけど・・・。

「あれは・・・?」
「南の封印宮、だよ。」
烈は、渋い顔で答えた。

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2006.08.28 09:08|いつか見た あの場所で

「・・・呉羽様・・・。」
「・・・。」

呉羽は、疲れたようなまなざしをコウに向けた。
「大丈夫よ。心配しないで。」
杖をぎゅっとつかむ。水鏡の間の奥に向かって歩き、もうひとつの扉、直接5階の呉羽の部屋に通じる階段をコウと上った。
その間に息を整え、深呼吸をする。

「・・・?」
呉羽は何か温かい空気を感じた。
「コウ?」
コウが呉羽の背中に、手のひらを押し付けている。
「コウ・・?・・・、何を?」
そこから、暖かい気が流れ込んできた。
「少しですが・・・、お受け取りください。」

「・・・・、ありがとう・・・。」

コウは直接呉羽に生気を送り込んだのだ。
呉羽はやめるよういおうと思ったが、今の転送でだいぶ体力を使っていた。
申し訳ないけれど・・、ここは甘えさせてもらおう・・。
呉羽はもう一度、コウにお礼を言った。

「葉影様、宮に入られます!」

門のところに配されている、衛兵の声。

「急がなければ・・・。」
コウは自分の半分くらいの生気を呉羽に与えると、手を離した。
「ご自身のお体を癒すことが出来ないなんて・・、神は不条理ですね。」
「あら、コウがそんな事をいうなんて・・、珍しいこともあるものね。」
いつも、神は偉大とか言ってるのに。
「私は遠野様を・・・、お客人達をまだ信用しているわけではありません。戦い方も分からない子供たちをお選びになった神がわからない。」

「・・・コウ。」
目の前には呉羽の部屋の扉。
ここをあけると、鏡の裏にある空間に出る。
「私は・・、信じますよ。先入観のない真っ白な心が、この世界を救ってくれると。」

鏡を前にずらし、部屋にでた。

「呉羽様、葉影様ご到着にございます。」
「分かりました。」

呉羽の部屋の隣に、謁見する部屋がある。
その扉を開けると・・・

「守護神 呉羽殿。ご無沙汰しております。」


・・・なんて・・、きれいなんだろう。
遠野は凄い勢いで水の中を抜けていた。
細かい泡が、後ろに向かって伸びていく。
息のことなんて、なんとも思わない。普通に息が出来る。

そこで、ものすごい力で上方に引き上げられた。
・・・うっ息が・・・上に行くほど息ができな・・・

「・・・・ぶはぁっっ!!」

水面に出た。
ぜぇぜぇ肩で息をしながら、辺りを見渡す。
「遠野?!」
相馬の声。
そちらに体を向けると、
「沢村、相馬!」
2人が水辺にたっていた。
いきなりわいて出た遠野を凝視している。
「烈は?!どこ!」

慌てて、あってもいない烈に対して呼び捨てで叫ぶ。

「んだと、こら。」

ぐきっ

「お前、客人だからっていい気になりやがって。」
遠野の出現を遠めで見ていた烈が、一足飛びで遠野の横に来て足蹴にした。
「烈!南の封印宮の近くの湖!念じてくれ!沢村、相馬!こっちにこい!!」

いうだけいって、2人を湖に引き込んだ。
烈は一瞬怪訝そうな顔をしたが、南の封印宮の言葉にただならぬことを察知した。
目を瞑り、何か呟いている。

瞬間

「えっ、何?!」

俺、相馬の間抜けな叫び声を残して、湖に引き込まれた。

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2006.08.27 00:24|バトン

悪魔or堕天使さんから、バトン回ってきました。


ではでは、やってみましょうか。結構、頭使いますよねぇ。


『俺のバトン』  はいよっと


1、一番今食べたいお菓子は何ですか?
カラムーチョ♪スティックと言うかポテチタイプじゃないほう。
一袋、一回で食べきります。ん?もちろん一人で。

2、ジャンケンで一番良く使うのは? 
パーかな。ためしに今、じゃんけんしてみた。

3、プチトマト、ミニトマト? 
うーん、どっちもちょっと・・・。あえてなら、ミニトマトかな。←大人なのに、偏食野郎;

4、自分には友達の寿命が見えています。それは、明日です。 友達に伝えますか?伝えませんか? 
それとなく伝える。伝えなくても、伝えても後悔するので、だったら伝える。

5、ブログをはじめてどのくらいの年月が経ちますか?
このブログは2ヶ月。他のもあわせると、4ヶ月。

6、人生は一度きりです。 思いっきり楽しみますか?自分が犠牲になっても 人の役に立ちたいですか? 
自分が犠牲になっても、人の役に立ちたい。
誰かの記憶に残る、人間になりたい。 

7、今、将来の夢がありますか? 
将来・・・。小説の完結!

8、何歳まで生きたいですか?
100歳。きりがいいから。

9、コアラのマーチを食べるとき模様を見てから食べますか? 
見る。

10、身長は何センチがいいですか?
せめて150cmいきたかった・・・。理想は、155cm。現実は・・・・ふぅ

11、もしクラスの仲間と殺し合うことになったらどうしますか? 
隠れる。息を殺して、誰もいなくなるのを待つ。えぇ、小心者です。

12、こうなったらどうする?↓
昨日の昼、営業回りで中央線に乗った時の話。

そこそこ混んでる車内。入ったドアの真向かいに20歳位の若い男が3人いてさ、
床に座り込んでタバコは吸うはお菓子広げて食ってるわ、やりたい放題だった。
いつもの俺なら見て見ぬ振りのはずなんだけど、その時なぜか言っちゃったんだ。

「ここは禁煙だからタバコはやめなさい。公共の場なんだから、もう少し考えて行動しなさい。」

…次の駅のホームでボコボコにされましたよ。駅員もシカト。
まあ、注意した時点でそれなりの覚悟も出来てたと思うし、それはいいんだ。
でも何よりもキツかったのは、電車から降りる間際、ドア横にいた女性が発した一言。

「電車男気取りかよ。」

男性には勝てなさそうなので、とりあえず三人に一発ずつ殴って速攻駅長室に駆け込む。
女性に対しては、一言。「何もしない奴よりマシ」って捨て台詞をはく。

13、好きな言葉はなんですか?
なせばなる なさねばならぬ 何事も
この言葉をモットーに、生きてます☆

14、たまごっち持ってましたか? 
昔・・・持ってた。ホント初期の奴。

15、このバトンに題名をつけるならなんですか?
『性格バトン』・・・・?

16、お願いですからこのバトンを誰かに回してやってください。 いいですか?
ごめんね、私はアンカー専門♪
きっと他の方が・・・


 

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2006.08.26 21:08|いつか見た あの場所で
「コウ・・・?」

呉羽が雰囲気を察して、扉に近づいた。
遠野は、体をずらして扉を開ける。
あけた途端、まぶしい日の光が部屋に差し込んだ。
遠野は、思わず目をつぶった。

「コウ、私はここです。何かあったのですか?」

呉羽は、コウの姿を探してきょろきょろとあたりを見渡した。
階段を駆け下りる音が、響く。

「呉羽さま、こちらでしたか!」

コウは、階段を駆け下りると、呉羽の側まで一気に駆けてきた。
「・・っ、お客人?」
呉羽の側に遠野がいるのを見て、コウの動きが止まった。

「呉羽様・・・?」
怪訝そうな、顔。
呉羽は、何でもありませんよ、とコウに言うと、話を促した。

「それで、コウ。一体何があったのです。」

コウはすぐに、呉羽を見た。
「そうです。こちらに北方守護の葉影が向かっていると、境界の見張りの者から連絡がありました。」
「葉影?!」
呉羽と同時に、遠野もまた叫ぶ。

「なぜ?葉影が来るなんて、今の時期に・・・・。」
「いつならくるの?」

今の言い方は、今回がイレギュラーってことだよな。なら、いつなら普通?

「私はこの世界の守護神。一応、敬意は表されているようです。年に一度、新年の祝賀だけしに来るのですが。」
今は、その時期ではありません。呉羽の、声。

「呉羽様、遠野様を・・・お客人達をどちらかに避難させなければ。」
「そうですね。何かの拍子に知られてしまっては、私でも護りきれない・・・。」

呉羽は、杖をぎゅっと握り締めた。

「遠野様。水鏡の前へ。」
「呉羽さん?」

呉羽は、遠野とコウの声に答えもせず、さっと部屋の中に入る。

水鏡の前に立った。

「今から、湖のお二方のところへ、あなたを飛ばします。その後、南の封印宮まで逃げてください。」
「えっ?」
「呉羽様!」
呉羽の言葉に、男二人、同時に叫ぶ。

「呉羽様?術を使えば、葉影にばれてしまうのではないですか?!」
呉羽は、頭を振った。

「いいえ、水の力を借ります。まだ、この水鏡には、少しは力が残ってます。その力で、湖まで飛ばします。水から水への空間転送なら、葉影にもばれません。」

呉羽は、持っている杖を遠野と水鏡にかざし、何か呟きだした。

「えっ?ちょっとまって、呉羽さん・・・!」
慌てる。湖に行って、南の封印宮って言われても・・・。

呟く呉羽の体が、白い光を纏い始めた。
その光は、杖に・・・そして遠野に集まっていく。

「う・・・わ・・・。」
遠野は、感じたことのない、浮遊感を覚えた。
「遠野様。」
呉羽は、目を瞑ったまま遠野に話しかけた。

「少しの間であれば、この術は維持できます。湖に出たら、供をしている烈に、南の封印宮近くの、湖を念じさせてください。」

光は益々輝き、遠野の体を取り巻いた。

「そして、全員で湖に触れるのです。そうすれば・・・・・・!」

「葉影様御一隊、ご到着なされます!!」

その言葉に、コウが静かに扉を閉めた。

「っ、分かりましたね!こちらには、絶対に戻らないよう烈に伝えて・・・!」
「呉羽さん!」

遠野が呉羽の手をつかむ。
このまま、呉羽をほぅっていってしまっていいのか・・・?

呉羽は一瞬目を見開いて遠野を見たが、次の瞬間

「うわぁっ。」

遠野は水鏡に、吸い込まれた。

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2006.08.25 19:46|いつか見た あの場所で

呉羽は、ゆっくりと遠野を見上げた。
遠野は、相変わらず呉羽を見下ろしている。
少しの間の・・・、沈黙。
呉羽は、小さくため息をついた。

「遠野様・・・、あなたが聞きたいことは・・・私のただの私情です。しかも、私自身それが何を意味するか、分かっていないのです。」

遠野は、黙って呉羽を見ている。

「それはあなたに言わなければ・・・、ならない事なのですか?」

「随分、人間っぽいこと言うんだね。神様って、そういうもんなの?」

呉羽の言葉に、ほぼ即答の形で答える。

「神は・・・。」

呉羽は、観念したように笑った。

「神とはいえ、いろいろな感情を持っています。私は・・・、神ではなく人に生まれたかったと思いますよ。」

「・・・呉羽さん?」

呉羽は、分かりましたと呟いた。

「・・・そわ 呉羽  汝の救い人なり・・・・。」

「え?」

呉羽の言った言葉が理解できず、聞き返す。

「この世界を救ってくれる人・・・、即ちあなた方は、同時に私も救ってくれると、神はおっしゃったのです。」

「呉羽さんを救う?」

何で、神様で、この界を守護する呉羽さんが、救われなきゃいけないんだ?
俺がここまで問い詰めたのは、神の言葉を俺達に言ったときの呉羽さんに、迷いを感じたからだ。一瞬、目線をそらした。
だから、何か裏があると思った。
その裏は、裏ではなく、呉羽の辛い何かなのか?

「・・・・・・・・。」

呉羽は黙っている。

裏のある話にあの二人を巻き込むのはと思って・・・、ちょっと厳しく言い過ぎたかな。

「うん、分かった。もう、いいよ。」

「え・・・?」

呉羽が、遠野を見た。
その顔は先ほどみたいに探るような目つきではなく、笑っていた。

「言いたくないこと、それは誰にでもあるよね。あの時隠したことが、その言葉なら、私情だと思って言わなかったんだって、納得できる。」


「遠野様・・・。」

「呉羽さんのこと信じた。あぁ、ごめんね。嫌な言い方したね。」

相手は神様だって言うのに、こんな言い方ダメなんだろうけど・・・。

俺の言葉を聞きながら、悲しそうにしている呉羽に、沢村が重なる。

二人とも、辛いこと、抱えて生きてるんだろうな。

「あの、呉羽さん。俺も、湖に・・・・。」

そこまで言ったときだった。

切羽詰ったコウの声が、響いた。

「どこに居られるのですか!?呉羽様!」

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2006.08.24 19:18|いつか見た あの場所で

「遠野様・・・?」
少しの沈黙の後、呉羽が口を開いた。
遠野は、軽く口の端をあげて笑ってる。
「俺さ、あの2人みたいに人を信じることできないもんでね。呉羽さん、俺達に言ってない事・・・無い?」
呉羽は、微動だにしない。
「う・・・ん、じゃ、とりあえず後回しでいいよ。次ね。さっきのお茶・・・テオって言ったよね。あれ、何したの?」
銀色の光を降らせた・・・
呉羽はにこっと、笑った

「あなたにこそ、飲んで頂きたかったのですよ。遠野様。」

・・・・、何?
遠野は、いぶかしげに呉羽を見る。
「私はそんなに術を使えるわけではありません。基本的には癒すことが中心です。あなた方を召喚するのも、この300年間、ずっと力をためてきた水鏡の力があったからこそ・・・。」
使い切って、今は少ししか力が残っていないけど・・・と水鏡のほうに目をやった。
「あの術は、癒しの魔法。心を癒す祈りをこめたものです。」
・・・・
「俺には必要ないけど・・・?」
遠野は、あくまでも笑みを絶やさない。
呉羽も同じく。
部屋の中に、表情とは裏腹の、静かな緊張感が漂っている。
「ふふ・・・、そうですか?沢村様は、とてもおいしくお飲みいただけたようですが。」
「あのテオのおかげなわけだ。沢村が元気になったのは・・・。」
呉羽は立ちふさがる遠野を見上げていたが、身長差の為くんっと顔を上に向けている。
「心の痛みをなくすことは出来ないけれど、和らげることは出来るのです。辛い気持ちを持った者にはとてもおいしく思える術なのですけれど・・・。」
あなたは飲まれませんでしたね、と呟く。
「俺は別に、必要の無いものだ。」
「そう・・・。」
呉羽は、笑ったまま呟いた。
遠野は一度目をつぶって、話し始めた。
「じゃ、さっきの質問。俺達に隠してることは?」
呉羽は答えない。
遠野は黙って、呉羽を見下ろした。
遠くで、コウが呉羽を呼んでいる声がする。
でも、2人とも聞き流していた。聞こえない振りをしていた。
「いえないの?呉羽さん。俺達に助けを求めてるって言ったよね?裏があったら乗ることなんて、出来ないよ。」
呉羽は、遠野の顔を見たが、すぅっと目線をそらした。
「言わなくてもいいと・・・、思った事ですから・・・。隠していたわけではありません。」
「何を?」
追及の手は休めない。
「俺さ腹ん中に隠し事してる奴、親近感は沸くけど・・・・信用はしないんだよね。」

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2006.08.23 19:28|いつか見た あの場所で

「なんだよなぁ、あいつ。一人で残るとかいいやがって。」
呉羽の言う湖は、馬に引かれた小さな馬車で、2.30分くらいの場所にあった。
10分もあればくるっと一回りできそうな湖の周りには、見慣れない草木が茂っている。
紫色の花をつけた物、赤い実をつけている物・・・なんとなく食べる気が起こらない色だけど・・・。
湖の色は、群青に近い深い青。
ただ、この湖以外は何もない。
向こうに、昨日呉羽が言っていた南の封印宮が少し見える、森が広がっているだけ。
「お客人、何かあったら言ってください。俺は馬車にいるんで。」
馬車から降りた俺たちに、ぶっきらぼうにそいつは言った。
「あ、はい。ここまでありがとうございます、烈さん。」
沢村の声に沈黙の頷きで返すと、烈は少し離れた湖の端にいった。
ここまでくるのに、馬車で連れてきてくれた「烈」という、呉羽さんの宮の人。
なんだかとっても、ぶっきらぼうな、冷たい感じを受ける。
なんか、見下す目。俺的、むかつく。
「相馬さん、綺麗ですね。」
「んあ?」
ついじっと烈を見ていた俺に、沢村が笑いかけた。
・・・・・
なんか、本当にいつもどおりだな。まぁ、よかったけど。
あまりの沢村の立ち直りの早さにびっくりしながら、沢村の側に腰を下ろした。
「本当、遠野さんもくればよかったのに。どうしたんですかね?」
そう、そうなのだ。
遠野、一番喜びそうだって思ってたら、「後から行くから」と言って、一人残ったのだ。
「なんだろうな?この世界でやることなんて、何にもないのになぁ。」


「遠野様、いかがされました?」
その声に、振り向く。一階の水鏡の間、この世界に現れた時にいた部屋の前に、遠野はたっていた。呉羽の言葉に、驚きもしない。
遠野は、こんこんと部屋をたたいた。
「中、見たいなって思っただけ。」
ドアにもたれかかりながら、呉羽を見た。
呉羽は、いいですよ。と、ドアに手をかざし、鍵を開けた。
「別に、何もない部屋ですが・・・。」
ドアの向こうは、昨日と変わらない部屋だった。
大きなテーブルがひとつ、呉羽が手をかざして光をともした為、ろうそくがいっせいに輝き外と変わらない明るさを保っている。
「・・・水?」
テーブルの上には、大きな水盆が置いてあった。水が満たしてある・・・。
「水鏡と申します。そこからあなた方を召喚したのですよ。」
昨日、気付かなかったけど・・・、あったんだこんなの。
「そう・・・。」
「お気がすまれました?」
呉羽はドアに向かって歩き出した。
「・・・・・」
遠野は素早く呉羽の先に回り、ドアをしめる。
バタン・・・、部屋に大きな音が響いた。
ドアの前に立ちふさがる遠野を、呉羽は首をかしげ、見つめていた。
・・・・何かを確信したように・・・・

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2006.08.22 21:15|いつか見た あの場所で
丁度いい具合に朝ご飯の声が、ドアから聞こえた。
昨日お茶をくれた、来夏だ。
部屋を出て、2階に下りる。
この宮は、1階が俺達が来た部屋。
2
階が食堂とコウ以外の人達の部屋。
3
階が俺達と、コウの部屋。
4
階は行った事ないからわかんないっと。
5
階が呉羽の部屋が、主みたいだ。
他にもなんかの部屋があるみたいだけど、使用目的は分からず。
こんなことぐらいしか、昨日からわかってない。
食堂に入ると、大きなテーブルが3つある。
その中のひとつの側に、呉羽とコウが立っていた。
「おはようございます、お客人方。」
呉羽がにこやかに笑う。続いて、コウが挨拶した。
口々に挨拶をして、席に座る。俺たちが座った後、呉羽も座った。
「よく、眠れましたか?」
その声に、沢村が頷いた。
「はい、呉羽さんはお加減いかがですか?」
呉羽は、少し首を傾げたがすぐに笑った。
「昨日コウから聞かれたんですね。大きな術はしばらく使えないですが、大丈夫です。ありがとうございます。」
そういうと、紅茶のカップを運んできた来夏を、自分の方に招いた。
「呉羽様?」
来夏の怪訝そうな声。
なにか小声で呟くと、右手をカップにかざした。
「うわぁ・・。」
右手から、銀色の光がカップに降り注ぐ。
呉羽は、驚いている俺たちにカップを渡すよう来夏に言った。
「テオをすこうし、おいしくしてみましたわ。どうぞ。」
「テオ?」
なんとなく俺命名「紅茶」のことだって分かったけど、聞き返してみる。
案の定、呉羽はカップを持ち上げて、この飲み物の事ですわ、と言った。

うーん、物の名前が結構違うのかな。
でも、昨日から話してて違和感なかったから、この世界固有の食べ物とか飲み物があるのかもしれないな。
そんなことを思いながら、カップを受け取る。見た目何も変わってないけど・・・・。
飲んでみると、昨日より少し濃い気がした。
気分的なもの位だけど・・・。
なんとなく遠野を見ると、遠野は沢村を見ていた。
沢村は、テオがとてもおいしかったらしく、一口飲んだ後一気に飲み干した、
「沢村、のど乾いてたの?」
俺の言葉に、沢村はにこっと微笑み返した。
「そうみたいです。とってもおいしいですね。」
そのまま呉羽を見る。
呉羽は、にこやかに俺達を見ていた。
「今日は、少しこの宮の周りでも散歩なされてはいかがですか?案内につけますから。」
「え、いいんですか?」
なんだか、沢村が元気になってる。よかったよかった。
呉羽と楽しそうにやり取りしている沢村を見て、なんだかほっとした。
「周りといっても何にもありませんが、少し離れた場所に小さな湖があります。気持ちいいですよ?」
湖かぁ。
「じゃぁ、いこっか。部屋で閉じこもってても仕方ないし。」
「そーちゃんは、ほんとに落ち着かない子だねぇ。楽観的だねぇ。」
「なんだとっ。」
遠野は運ばれてきた朝食を口に運びながら、にやにや笑ってた。
「だって、考えなきゃいけない事があるにしろ、どこで考えたっておんなじじゃん。なぁ沢村。」
話をふられた沢村は、同じく笑って頷いた。
「そうですよね、相馬さん。」

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2006.08.21 17:17|いつか見た あの場所で

「夢じゃなかったねぇ。」
「ほんとにねぇ・・・。」
朝の目覚めは、俺と遠野の会話から始まった。
変な世界に来て2日目。寝れば戻れると思ったんだけどなぁ。
そんなわけないか・・・。
昨日食事の時にもらった服を、何とか着てみる。
昨日コウが来ていたような、中世の服。
「沢村、おっきいんじゃない?その服。」
沢村は服を着ては見たものの、明らかに大きすぎる服に戸惑っていた。
「そうですよねぇ・・・。僕、洋服持ってるから遠慮させていただこうかな。」
そういうと、一度着てみた服を脱いで、鞄から引っ張り出した洋服を着た。
「いいなぁ、沢村。俺も服をもってくればよかった。」
「たまたまですよ、たまたま家出しようと思ってたから。」
「あ、俺も。」
・・・・
「相馬さんも?」
その言葉に、頷く。
「あれ、言ってなかったっけ。俺も昨日家出てきたんだ♪」
「うれしそうに言う言葉じゃないだろうよ、そーちゃん。」
遠野が横槍を入れる。
「うるさいなぁ。俺も親父と喧嘩したのっ。だから家でてきたんだ。」
「それって、なんで・・・?」
沢村が、つらそうな顔をした。
よく見ると、目がはれている。昨日ねられなかったんだなきっと。
俺は、沢村を見て、精一杯笑った。
「違うよ。沢村のせいじゃない、お前、何でも自分のせいにしすぎだよ。」
でも・・・、と口ごもる沢村を見て、遠野は軽く沢村をたたいた。
「沢村、全部もう終わったことだ。いちいち気にしてたら仕方ないだろ?もういい加減、立ち直りなさい。」
遠野にしては、強い口調。沢村は、口をぎゅっとかみ締めると、頷いた。
「分かりました。もう、気にしないことにします。最後に、これを最後にしますから、あやまらせてください。本当にすみません。」
そういって頭を下げると、沢村はにこっと笑った。
俺達は、ほっと胸をなでおろすと共に、まだ気にしてんだろうなと思いつつ、もう口に出さないようにしようと思った。


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2006.08.21 14:33|バトン

今日は悪魔or堕天使さんから、バトンが回ってきました~


『色バトン』  いろんなバトンがあるね~。


■好きな色は?
・青。群青に近い青色が好きです。冷静さの中に、意思を秘めているイメージ。

■嫌いな色は? 
ピンク。持っていない色です。

■携帯の色は何色?
くすんだ赤。ちょっとメタル色に近いかな。

■あなたの心の色は何色?  
黒かグレーかな。アクティブじゃない生活。

■回してくれた人の心の色は?
赤とか赤みの強いオレンジ。元気いっぱいで、意志が強そう。

私はアンカー専門です~♪

いや~、バトンって楽しいですね。
考えることないことを、考えるんですもん。
自分の心の色は?って、思ったことなかったですよ。

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2006.08.20 15:37|いつか見た あの場所で

今日は、更新2回です。


なぜならば沢村に心情を吐露させようとしたのに、なかなかそこまで行かないので


いかせてしまえ、とばかりに一気に書きました。


ので、今回文章ながいです。 


読みにくかったらごめんなさい。


あと、沢村、血液型間違えました!A型です。O型になってました。


登場人物みんなO型だったら、収集つかないっす。


人物設定は直しました。


ではでは、VOl.12は続きを読むから・・・

続きを読む >>

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2006.08.20 14:53|いつか見た あの場所で

そこからの沢村の行動は早かった。
必要最低限のの物を鞄に詰め込む。
もともと学生鞄とスポーツバックを2つ持っていく学校なので、少し多い荷物ぐらい鞄に入る。
2.3枚の洋服と、昔からこつこつと貯めている貯金通帳、財布、ノートとペン。あと・・・。
「母さん。」
机の上の、一枚の写真。
赤ちゃんを抱く、一人の女性。
沢村は少し見つめると、写真を手帳にはさんで鞄に入れた。
もう、思い通りにはならない。
父さん、もう僕は思い通りにはならないから・・・。


「て、ことは家出してきたの?沢村。」
沢村が話し終わって、開口一番俺は聞く。
「えぇ。遠野さんに、これからどうするか相談にのってもらおうと思って・・・。」
僕の知っている、唯一普通の親戚だからと、沢村が言うのを遠野はぼやっとした目で見ていた。
「学校も午後はサボって・・・、じゃないと黒服が来てしまうし。まさか、学長があんなことするなんて・・・。」
嫌いな奴でも、叔父なのに。沢村を見ていてつらくなる。
?あ、でも・・・。
「なんで、沢村が予備校に来ていることを知ったんだ?学長。」
沢村が、首をかしげる。
「学校から、学長に連絡が行ったんだよ。黒服が来ていないのに、沢村の姿が見えないから連絡したんだろう。」
遠野が、代わりに答えた。
「何で学長?普通親に行くもんじゃないの?」
遠野はがさがさと鞄の中を探っていたが、お目当ての物を探り出し手に取った。
「煙草、吸わして?いやー、落ち着かなくて。」
・・・
「お前、さっき俺に対して、マジで謝ってなかったっけ?俺、まだ許すとか言ってないんですけど。」
突然煙草かい!
遠野は煙草に火をつけると、うまそうに煙を吐き出した。手には、携帯灰皿がある。
「いやだって、そーちゃんは許してくれるでしょう?大丈夫、大丈夫よ沢村。」
沢村が俺を見る。
俺は、ため息をついた。
「許すも許さないも、別に誰も悪くないじゃん。流れでこうなったけどさぁ。で、何で叔父さん?」
今の状況も気になるが、沢村達のほうが気になる。
遠野は煙草をくわえたまま、窓際に立った。
「沢村が一年の時に、誘拐されたことがあって。」
「なっ何で知っているんですか?遠野さん。」
沢村が、驚いて遠野を見た。
遠野はなんでもないように外を見ている。
「聞いたよ、理事長から。で、そのとき学校は理事長に連絡したのね。でも、その時海外にいて、理事長から学長にまた連絡しなければならなかった。」
その時は間に合ったからよかったけど、わかんないじゃない。と、遠野は続ける。
「理事長が沢村の友達の事に口出すの、仕方ない理由もあるんだよ。」

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2006.08.19 16:29|いつか見た あの場所で

電話の向こうで緊迫した声が聞こえる。学長の、なにか取り繕うような慌てた声。
「あぁ、気にしなくていい。お前の手に余るようだし、煩わせたくないだけだ。」
沢村は、硬直したように体が動かなかった。
手が汗ばんでいる。
「ん?総一郎か?あぁ、家庭教師でもつけるよ。一応頼りないが跡取りだからなぁ。それ以外は今までどおりだ、なんでもないことだよ。」
受話器からはまだ学長の声がもれ聞こえていたが、父親は押し付けがましいほどの愛想笑いで、電話を切ってしまった。
「父さん・・・・?」
からからになったのどを、絞るように声を出す。
「お前は、明日から予備校に行かなくてよろしい。学校から直接帰ってきなさい。」
「そんな・・・、いくらなんでも突然こんな・・・。」
頭の中がぐるぐる回っていて、考えがまとまらなかった。
父親はそんな沢村を、じっとみて口端をあげて笑った。
その笑い方に、一瞬遠野が重なる。今、沢村を父親のように見守ってくれているのは、遠野だけだ。
なぜ、同じ人間なのに、こんなに違うんだろう・・・。
そんなことを、頭の中に浮かべていた。
「学長の・・・あいつの事を全面的に信用しているわけじゃないが、いうことには一理ある。」
まさか・・・。
「お前に近づいている男子学生は、お前の為にならんと言うのは私も同じ意見だ。今回のことはあいつの早とちりだったにしろ、今後、どんな影響が出るか。」
と、数枚の紙を机から持ち上げた。
それは、
「相馬さん・・・。」
相馬の顔写真が入った、素行書だった。
「今日、あいつから送ってもらった奴だ。最近成績が落ちてるな、最初は普通だったのに。」
教師受けもよくない、成績が落ちてるのは迷いがあるためだ、と父親は続けた。
「お前の側にいるのは、ふさわしくないと私も思うよ。分かったね。」
・・・、そのために予備校やめさせるって事・・・?
カチッと、心の隅でスイッチの音がしたきがする。
沢村の思考が、静かになっていくのを沢村自身が感じていた。
「父さん、分かった。もう、相馬さんたちには会わないよ。予備校もやめる。それでいいでしょう?」
父親は驚いたような顔を一瞬させたが、またにやっと笑った。
「えらい、聞き分けがいいな。まぁ、いい。もう、行け。」
話は終わりだとでも言うように、父親は机の上の書類に目を落とした。
沢村は、頭を下げそのまま部屋を出た。

部屋まで戻ってくると、疲れたようにベッドに倒れこんだ。
「疲れた・・・。」
頭の中は、以前冷静さを保っている。
相馬さんの素行書・・・。あんなものまで調査してたなんて・・・。
沢村の感情が、知らずのうちに昔の記憶を呼び戻す。

中学生の時、親が金持ちということだけで親しい友達も出来ず一人ぼっちだった頃。
中1の終わり、季節はずれの転校生がクラスに入ってきた。
その子は一人だった沢村を、友達の輪に入れてくれたのだ。
一緒にいる・・・、それだけでどんなに救われたか。
でも、中2にあがってすこしたった頃、その子は再び転校していった。
最後まで理由は言ってくれなかった。
悲しそうな笑顔を、沢村に向けて、「じゃぁな」と一言だけ言っていなくなった。
その子との付き合いをやめさせたい父親が手を回して、そのこの父親を転勤させたのだ。
どんな手を使ったのか、知らない。
ただ、後でそのことを知った沢村は、とてつもない絶望を味わった。
「また・・・、なのか?」
もう、嫌だ・・・・!

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2006.08.18 12:49|いつか見た あの場所で
・・・、学長・・・・・。
「沢村の・・・、叔父さん?」
無意識に、沢村を見る。
沢村は、気丈にも俺を見ている。辛そうな表情で。
「そう。俺がバイクで使った道、あれは何かあった時に沢村を連れて逃げる、俺が使う予定のルート。それを分かっていたかのように、横付けされていた車。」
「え・・・、でも・・・。」
それだけで?
「そのルートを知っているのは、学長と俺だけ。理事長にも秘密なんだ。」
そして何よりも・・・、
「何よりも、あの車は・・・。あの車の横には、学長の私的ボディーガードが一人、いた。」
えぇっと・・・
「遠野、いつから分かってたの?」
「車見たときかな。あんまりにも、これじゃ偶然が過ぎるだろって。相馬達を追いかけていた黒服、捕まえられなかったのに慌てたりしなかったから。」
あぁ、俺もおんなじこと考えた。
「あれ?って思ったんだけど。で、横道入ったら車が止めてあるししかも下、なんか滑るように塗られてた。多分油だと思うけど。」
だから、遠野避けられなかったんだ。
「で、学長の黒服が1人だけなんかいるし。多分理事長にばれないように、他の黒服はあの場のみで雇ったんだろう。他の奴は、見たことなかったし。」
・・・。
「なんで、そこまでするの?」

素朴な、疑問。
だって、叔父だろ?意味分からん。
遠野が、沢村を見た。
「沢村、昨日、何があったのか・・・、話して。」
沢村は、俺を見て立ち上がった。
「昨日・・・、叔父とやりあったこと。家に帰ると、父親にはもう連絡がいっていて・・・。」

学長が連絡した為通常より早く迎えに来た黒服たちと共に、家に帰った後・・・。
夜、父親が帰ってきて、理由を問われた。
「総一郎・・・、何があった?」
静かだが、強い口調。
沢村は、事の次第を伝えた。
父親はふぅん・・、と頷く。
「あいつは、私の前ではおべっかを使っているが他では、かなり尊大な態度をしていると聞いている。」
「知って・・?」
父親が学長の性格を見抜いていたのに、驚く。
「気付いていたよ。でも、それでも弟だ。もし、お前にこの予備校を継がせられないときは、あいつの子に継がせたい。」
え?
「一族経営できているこの会社は、一族内で騒動が起こればすぐに駄目になる。それを狙ってる奴らはたくさんいるんだ。だからこそ表面上はつくろっていきたい。」
父親の視線。なんとなく、目を合わせづらく視線を床に落とす。
「お前は小説を書きたいだの、大学にいかないだの。挙句の果ては私のあとを継がないだのと、わがままばかりだからな。」
そういうと、おもむろに電話をとった。
「父さん?」
沢村の声に、振り向きもしない。
相手が出たらしく、父親はにこやかな声を出した。
「あぁ、私だ。今日は総一郎が、いろいろと迷惑かけたな。」
学長?!
話の内容から学長に電話したことを知り、立ちすくむ。
「今話は聞いた。まぁ、子供のやることだと思って流してやってくれ。あぁ、それでな。」
次の言葉は、少し前の沢村だったら喜んでいただろうが、今では違っていた。
「総一郎は、予備校をやめさせるよ。」

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2006.08.17 19:40|いつか見た あの場所で

「なんだか、凄い話になったなぁ。」
コウが出て行ったのを見計らって、ベッドにひっくり返った。
遠野はそんな俺を見て、軽く笑う。
「そーちゃんが言うと、なんだか軽い事件のような気がするよ。」
・・・
「ばかにしてる?」
「いやいや、してませんとも。」
くだらない会話に、一人声が足りない。
「沢村?」
しん・・としている、沢村を見る。
沢村は、立ったまま床を見ていた。
「どしたの?体調でも悪い?」
その言葉に、遠野が優しく、言った。
「沢村。もう、いいよ。大丈夫。お前のせいではないから。」
遠野のその言葉に、沢村は頭を上げた。
「でも・・・っ。」
「俺から、そーちゃんには話すから。沢村は、黙ってなさい。」
???
「すみません、一人、意味のわからない俺がいるんですが。」
沢村は、突然、すみませんと叫んだ。
本当に、搾り出すような、つらそうな声。
「え・・・?えっ、何?黒服のことだったら別に・・・。」
「あれ、そーちゃんが考えているような奴じゃないんだよ。」
沢村ではなく、遠野が答える。
「いいから、座ってなさい。沢村が話すと、どうしても感情が入って意味がわかんなくなっちゃうから。」
なんなんだよ。
「遠野?」
いぶかしげに遠野を見る。
「とりあえず、先にあやまる。すまん、相馬。お前を巻き込んでしまって。」
突然の相馬呼ばわりに、びっくりして遠野を見た。
遠野は、頭をぐっと下げ、俺に謝る。
「何で?何が?」
頭の中が、はてなマークでいっぱい・・・。
遠野は、俺の言葉を聞いて、頭を上げる。
「お前と沢村を襲ったのは・・・、学長だ。」

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2006.08.16 21:15|いつか見た あの場所で

「時間がない・・・、ということですかね。」
沢村の一言。
頷く呉羽は、続けて何か言おうとして、コウに止められた。
「呉羽様。もう、お休みになりませんと。」
???
「コウ、休んでいるときではないでしょう?」
「呉羽様。」
強い、口調。言葉を荒げているわけではないのに、逆らえない。遠野みたい。
呉羽は、しゅんと肩をすくめた。
「お客人方。」
こちらを向いて、にこっと笑った。
「何分、急なお願い。皆様方、いろいろと考える時間が要ると察します。いかがでしょうか、少し、この宮に滞在なされては。」
え・・・と・・・・・・。
遠野を見る。遠野は、なんとなく沢村を見て、ため息をついた。
「まぁ、確かにね。いきなり言われて、今決めろって言うのは無理だから。いてもいいのかな?」
コウは、ほっとしたように笑った。
「ありがとうございます。では、皆様方のお部屋にご案内します。・・・呉羽様。」
「はい。」
呉羽の弱々しい声。
「私が戻るまでに、必ずお休みになっていてください。」
・・・
「宜しいですね。」
「はい。」
・・・?どっちが神様?
なんとなく苦笑いしながら、ドアに向かったコウに続いて席を立った。
「皆様方、申し訳ございません。」
呉羽が、立ち上がって頭を下げていた。
「いいえ、呉羽さんのせいではありません。考える時間がほしいのは、本当ですから。」
沢村が、慰めるように呉羽に言った。
呉羽は、頭を下げたままだった。

俺達はコウについて、階段を下りた。
3階の奥の部屋のドアを開けた。
「こちらで、どうぞお寛ぎください。」
部屋の中は、呉羽の部屋ほどあるだろうか。ベッドが3つ、テーブルと椅子。そして鏡。
石と木で作られた、中世の部屋のようだ。
各々、ベッドに荷物を置く。
コウはドアを閉めて、俺たちに頭を下げた。
「お話の途中に、申し訳ございませんでした。」
「え、いや、・・・・呉羽さんは体どこか悪いの?」
突然の言葉にびっくりして、あわてて聞く。
コウは、頭を上げて頷いた。
「呉羽様は、もともと神界におわすお方。この世界が神界とつながっている時は、おのずと大地から力を受け取っていたようですが・・・。」
神界を切り離してしまったことで、神の力を受け取ることが出来なくなってしまったのだという。
「術力を使うと、疲労は一気に体を弱らせます。今、あなた方を人界から召喚するのに、大変な術力を使われました。」
遠野が立ち上がった。
「なるほどね。それで、コウさんは意地で呉羽さんを休ませたんだ。納得納得。」
コウは、遠野に向かって頷いた。
「そうです。失礼かと思ったのですが、呉羽様のお体が心配だったものですから。」
あの方は、無茶をしすぎる。と、続けた。
「あなた方を人界に戻す力を取り戻すのに、少なくても何日かはかかると思います。それまで、宜しいでしょうか。」
「いろんなこと、考える、時間が出来ました。」
沢村が、呟いた。
コウはほっとしたように、もう一度頭を下げてでていった。

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2006.08.15 23:12|いつか見た あの場所で

記憶を消す・・・。
神様にかかったら、簡単なことなのかな・・・。
沢村は、聞くだけ聞いて黙った。
カップは、テーブルの上においたけど。
「信じる信じない、力を貸す貸さないは別にして、もし俺たちが受け入れた場合。いったいどうやって戦うの?俺たち、力、ないよ?」
遠野が、かなり核心を突いた。
その通り。そういっている遠野だけがボディーガードであるからして、戦えるんだろうけど。
俺たちは無理さ。
呉羽は、こくっと頷いた。
「えぇ。コウ、窓、開けていただける?」
振り向いて、後ろに立っているコウにお願いする。
コウは、頷いて窓を押し開けた。
涼しい風が、吹き抜ける。砂漠だというのに、涼しい。
呉羽は、すっと指をさした。
「あちらに、見えますでしょうか。微かに、建物が見えるでしょう?」
少し椅子から立ち上がって、呉羽の指差すほうを覗き見る。
「あ・・・、ん?」
本当に、微かに建物が見える。森に囲まれていると見えて、先端部分しか見えない。
「あの建物は、神が作られた封印を護る宮。そこに、何かのヒントがあると、思われます。」
「封印とは?」
遠野の、応答。
「封印とは、神が、神界を護る為の保険。」
コウはもういいでしょうと呟いて、窓を閉めた。
パタンという軽い音を聞きながら、呉羽を見る。
「この世界が意に染まぬ世界、他の世界に影響を及ぼすようになった場合、一瞬にしてこの世界を消滅させてしまう封印なのです。」
鏡に呉羽が手を触れると、つたが絡んだ、とても古そうな建物が映し出された。
「南の封印宮と呼ばれています。ただしこの封印を壊し、世界を消滅させてしまうと、他の世界、特に人界には多大な影響が起こってしまいます。地震、台風などの異常気象。遺伝子変異の生物の出生。なんとしても、神があきらめる前に禪と葉影を倒さねば。」

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2006.08.14 23:16|バトン

悪魔or堕天使さんから、バトンがまわってきました。
初めて、バトンなるものに挑戦です。
変なことかいてても、スルーしてくださいね。


■人間性バトン■  というか、自分にあるのか?人間性・・・

1)回してくれた方の印象をどうぞ 
小説を書く、体育会系中学生。(印象じゃない?)
私の年齢の半分くらいか・・・若いなぁ、いいなぁ。(印象というより、羨み?)

2)周りから見て自分はどんな子だと思われてますか? 
見た目、おとなしい。つきあうと、せわしない。

3)自分の好きな人間性について5つ述べてください。
・人のせいにしない人
・場の空気を読める人
・悪い感情を、表に出さない人
・他人を信じることが出来る人
・決断力がある人

4)では反対に嫌いなタイプは? 
わがままが過ぎる人

5)自分がこうなりたいと思う理想像とかありますか? 
決断力と行動力が伴う人。優柔不断なもので・・・

6)自分のことを慕ってくれてる人に叫んでください。
まだ20代前半で、いけるかなぁ。あ、無理?

7)そんな大好きな人にバトンタッチ5名! 
アンカーで、お願いします!!

8)日記のタイトルに回す人の名前を入れてびっくりさせてください
・・・・・・・ふふっ、ごめんよ

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2006.08.14 01:13|いつか見た あの場所で

危険・・・
ふと、思い出す。沢村を横目でそっと見ると、うつむいてカップのそこに溜まった紅茶の残りをぼんやり見ていた。
「葉影は、人界の人だっていったけど・・・。葉影も誰かがここに呼んだの?それとも、自分で来たの?」
遠野は呉羽の言葉に何も返さず、疑問を投げかけた。
俺の目線も、呉羽に戻る。
「葉影は、自身の力を持って界王 禪と交信を持つことに成功したようです。詳しいことはわかりませんが、人界に恨みがあるらしく、人界への侵略を禪に持ちかけ、2人の力を合わせこの世界に来たようですが・・・。」
詳しいことは、まだ・・・。
と、呉羽は口ごもった。
「禪が神への反乱を起こしてから、すでに300年近い歳月が流れています。東の国を滅ぼし、人界への侵略の準備をするのに、もうそう時間はかからないと思っております。私はなすすべもなく、この宮で過ごしてまいりました。あなた方の存在を信じて・・・。」
しかし、
「しかし、このお話は皆様方にとってはなにぶん突然のこと。無理を強いてもどうにもならないことは承知しているつもりです。」
呉羽さんの口調が変わった。
さっきまでのとぼけたキャラクターはなくなり、真剣な、声。
今なら神様といわれても、なんとなく頷けるかな・・・。
そんなことを考えている俺の横で、沢村が口を開いた。
「呉羽さん、うかがってもよろしいですか?」
「はい?」
沢村は手に持っていたカップを両手で持ったまま、呉羽を見た。
「もし、僕達がその話を受けなかったら、どうなるんですか?」
・・・・・、確かに。
呉羽は、寂しそうに笑った。
「人界への侵略が、始まるかもしれません。しかし、そのことまであなた方が考えることはありません。たしかに神の啓示ではあります。が、もし受け入れていただけなかった場合には、この世界のことです。どうにかして、この世界内で決着をつけられるよう努力します。」
「それで・・・、いいの?」
つい、口からでた。
「葉影が人界のものとはいえ、呼び寄せたのは界王の責任でもあります。その界王を、王として決めたのはこの界の責任です。」
コウが、心配そうに窓際からこちらを見ている。
「本来ならばそうするべきなのですが、救世主とされているあなた方に助力を願いたいと思うのです。もし受け入れられないときは、
あなた方の記憶は消させていただきますから。」

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2006.08.12 16:45|いつか見た あの場所で

紅茶(勝手に命名)を一口すする。
甘い。けど、うん、まぁ落ち着くかな。
しん・・・、沈黙。
「まぁ、そーちゃんが質問したこと・・・。俺たちの疑問なんだけど、呉羽さん。」
呉羽は、カップをテーブルに置いた。
「俺達、ここになんでいるのかな。答えは、呉羽さんが持ってるの?」
なんで遠野は、落ち着いて話が出来るんだろう。
沢村を見ると、なんだかうつむいてカップの中を覗き込んでいた。
・・・沢村?なんか、元気ない感じ。
いや、この状況は、元気が出るようなもんじゃないけどね。
「蒼空界は、正しき道を進んでまいりました。・・・、あのときまで・・は。」
声が暗くなった。
「あの時まで?」
遠野の声。
「私は代々の界王と、神の啓示に従いこの世界を導いてきました。しかし、現界王が即位したとき異変は起こりました。」
再び鏡に手をかざす。そこには、4人の姿が浮かび上がった。
「この中心にいるのが、界王 禪(ぜん)。そしてこの男が・・・。」
先ほどのように、一人がクローズアップされた。
黒い布で、顔を隠し見えているのは目の部分のみ。
全身黒ずくめ。
「北を守る族長、葉影。この2人が人界を侵略すべく、葉影の持つ術の力で神界とのつながりを絶ったのです。」
いやー、なんかゲーム?ゲームの世界?
「反対した東の国は、滅ぼされました。圧倒的な2人の力の前に、なすすべもなく。」
黒ずくめの葉影の横の、よろいを着た人物を指して呉羽がいった。
「私は神という名は持っておりますが、使える力は数えるほど。2人を倒す力はありません。」
「・・・、もしかして・・・?」
なんとなくいいたいことがわかってしまい、つい口に出る。
呉羽が、頷いた。
「・・・、あなた方に、葉影・・・。ひいては界王を、倒していただきたいのです。私の使命は、この世界を守り、神の手に返すこと。あなた方の力が必要なのです。」
持っていた紅茶のカップを、テーブルにたたきつけるように置く。
「なんで?なんで俺達?」
おかしいだろう?自分たちの世界は、自分で守れよ。
いきまく俺を手で制して、遠野が聞いた。
「なんで、俺たちがそれに選ばれたの?」
「葉影が、人界から来た人だからです。そして、あなた方は、葉影の子孫。」
ほわーい・・?
「子孫?」
「葉影と同質の力を持つあなた方が、一番最適であると神がご判断されたのです。」

未来 この世を神の手に戻すべく 反逆者の子孫現れたり
汝 呉羽  これを助け 成就させよ

呉羽は、この後に続く神の言葉を切った。今は関係ないと判断した。
「これは、葉影が神界を切り離す直前、私にくだされた神の啓示です。」
私はそれから、毎日人界に向かって、葉影と同質の力を持つ人を探していました。
呉羽は、悲しそうな顔で呟いた。
「やっと、あなたがたの意識をつかむことが出来ました。何か、危険が迫っていた様子でしたが、そのおかげで心の叫びを捉えることが出来たのです。」

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2006.08.10 21:39|いつか見た あの場所で

もくもくと、呉羽さん達は階段を上がっていく。
5階まであがり、右端の部屋に入った。
そこには、大きな木のテーブルと、同じように大きな椅子。
全身がうつりそうなくらい大きな鏡が、おいてあった。
そんなに広くないかな、さっきの部屋に比べたら。
きょろきょろしすぎて首が痛い。
促されるまま、椅子に座った。
呉羽は、テラスを背に座る。
コウは呉羽が座るのを見届けて、扉を閉め部屋から出て行った。
「まずは・・・、ここの世界の説明をいたしましょう。」
呉羽は、鏡に手をかざした。
そこには・・・、
「・・・・う・・わ・・・。」
3つの球体が少しずつ重なり合った、映像。
「この一番下の世界が、あなた方、人の世界。そして、一番上が神のいる、神界。」
呉羽はその中心にある球体をクローズアップさせた。
「この真ん中にあるのが、ここ、蒼空界です。」
呉羽の話は、・・・そう、まったくのお話としか受け取れなかった。

蒼空界。
古代、界内の戦争で滅びようとしていたこの界を、神が救い、独立した世界ではなく、神界と人界に属する世界とした。
そうすることで、失われた界の存続する力を、2つの界から少しずつ分け与えてもらい、いつか独立することが出来るようにしたのだ。
しかしその結果、神界と人界は直接つながることが出来なくなってしまった。
すべて、蒼空界をとうさねばならなくなった。
そのため、神は界の守護神として 呉羽を蒼空界に与え、神の欲する正しい世界を導かせてきた。

「とまぁ、簡単に言えばこんなかんじで。」
簡単にって・・・、
「てことは、呉羽さんて、神様?」
遠野が、呟く。
呉羽は、髪の毛に手をやりながら頷いた。
「こんなですけどね。一応・・・。」
この人は照れると、髪の毛をいじる癖があるんだろうか・・・。
じゃなくてっ、と、つい立ち上がる。
「この世界のことは、わかりました。納得できないけど・・・。でも、俺たちは?何で、ここにいるの?」
ここの説明はいいって・・・
沢村も、頷く。
「失礼します。」
その声に、扉を振り返る。
コウが一人の女性を連れて、入ってきた。
「飲み物をお持ちしました。来夏、お願いします。」
来夏と呼ばれた女性は、頷きながら俺たちにカップをわたしていった。
「温かい飲み物をお持ちしました。少しは落ち着かれるかと思って。」
ありがとうございます、と受け取る。
確かに、今、いきまいていました。
なんとなく、後ろめたく、椅子に座りなおす。
カップに入った飲み物は、紅茶のような色で甘い香りがした。


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2006.08.10 10:44|いつか見た あの場所で

「・・・・・・。」
沈黙。
「あら・・・?」
呉羽は何も言わない俺たちに気付いて、コウを見た。
「・・・、私、何かおかしい事言ったかしら・・・。」
コウは苦笑い。
「呉羽様、おかしい事というより、今現状がお客人方にとっておかしいのですから・・・。」
うん、その通り。
「ようこそ・・・って、いわれても・・・。ね?」
遠野と沢村に賛同を求める。
遠野は声を押し殺して笑っていた。
「呉羽さん、おかしいこと言ってないよ。ただね、ようこそも何も、俺達、こんなとこ知らないんだよね。来ようと思ったわけじゃないから・・・。」
遠野の言葉に、呉羽は少し赤くなった。
「そうですよね、いきなり知らないとこに来て、ようこそはないですわね。」
杖をもっていないほうの手で、恥ずかしそうに髪の毛をいじる。
「とりあえず、現状をご説明いたしますから、どうぞついてきてくださいまし。」
俺たちが頷くのを待って、呉羽とコウが歩き出した。

扉をでると・・・・
「そーちゃん、口、開いてるよ。」
・・・、いやだって・・・
「ここどこさ・・・。」
「知らんて。」
俺と遠野の言葉を聞きながら、沢村はしきりに辺りを見回している。
扉を抜けると、そこは、
「砂漠・・・。」
砂漠だった。
一面の砂の海。吹き付ける風は涼しいが、まごうことなく砂漠。
どうやら俺達がいたのは、1階で扉をでると外を見渡せた。
呉羽達はゆっくりと、端に備え付けてある階段を上っていく。
みーんな石造り。
「少なくても、予備校じゃぁないね。」
遠野が砂漠を見てほうけている俺の頭を、軽く階段のほうに向かせた。
「そんなことは、わかってるよっ。」
予備校だったら怖いよ。
「相馬さん、とりあえず、ついていきましょう?ご説明くださるんですから。」
遠野も頷く。
「うん・・・。」
ご説明って・・・、ご説明されても理解できそうにないんだけど・・・・・。

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2006.08.09 10:27|いつか見た あの場所で

             <<蒼の世界>>Vol.1



「そーちゃん、おいっ。おいってっ。」
遠野の声が、聞こえる。
耳が、おかしい。何か中に入ってるみたいで、声が遠くに聞こえる。
ゆっくりと目を開け、辺りを見回す。
・・・・・
もう一度閉じてみる。
え・・・、と?
再びあける。
俺の目の前には、遠野と沢村の姿。転がってる俺を覗き込んでいる。
「そーちゃん、大丈夫か?」
遠野の声は、聞こえるが返事できない。
何って・・・、なんでって・・・・。
「何ここ?」
開口一番でたのは、この言葉だった。
薄暗い部屋。ろうそくの明かりが、微かに俺たちの姿を映し出している。
壁や床は石造りで、部屋の真ん中に大きなテーブルが置いてあった。
「心配してる俺たちの言葉無視して、そこかよ。」
遠野は笑ったようなほっとしたような、複雑な顔だった。
「相馬さん!怪我は?どこも痛くないですか?」
沢村が、泣き出さんばかりの声で俺を見ていた。
「う・・うん、大丈夫。」
沢村の頭を数回軽くたたいて、立ち上がった。
「そーちゃんすまんねぇ。沢村守るのに精一杯で、そーちゃんまで手がまわらなかったよ。」
まったく・・・、と言いながら遠野の隣にたって、改めて辺りを見渡す。
2・30畳くらいかなこの広さ。よくわからないけど、広い部屋。
中央においてあったテーブルの上には、おっきいお盆の中に水が入ってる。
「遠野、いったいここどこ?」
「おれが、知るわけないだろう。」
そりゃそうだ。
「おっかしいなぁ。確か、俺たちバイク乗ってたよな。」
「そうだねぇ。」
いつの間にか、沢村が隣にいた。
「すみません、巻き込んじゃって。」
あぁ、それはいい。と、こたえる。
その時、後ろにある扉がゆっくりと開いた。
「皆様、ようこそお越しくださいました。」
突然の声と、扉から入ってくる日の光のまぶしさに、目を細める。
「だ・・・れ?」
杖を持った、女性・・・?
その女性は、杖を軽く床に打ちつけた。
カッ
その音と主に、ろうそくの光が輝きを増す。
扉の前には、白いドレスをゆったりと着た、小柄な女性が立っていた。
その後ろには、遠野と同じくらいの身長の、男・・・。
「私は、呉羽。こちらはコウ。」
名前を名乗ると、にっこりと微笑んだ。
「ようこそ、蒼空界へ。」

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2006.08.08 09:49|未分類

朝、雷で起こされました、kazu osinoです。


なんというか、すっきり起きれなかったので、眠い。


自分の意思以外で起こされると、なぜにこんなに眠いのでしょうかね・・・。


今後の話ですが、何とかまとまってきました。


明日・明後日には本編はじめられると思います。


今日は、人物設定 遠野 征一です。


遠野は、一番好きなキャラです。なので、一番見せ場が多くなると思われます。


最後にいいところを持っていく予定です。


遠野 征一(とおの せいいいち)
1984年 6月15日生まれ
身長 183CM
体重 70Kg
血液型 O型

この子は、謎な人です。家族構成もこの後出てくるまで、ちょびっと内緒です。
今は一人暮らし。予備校からバイクで10分くらいのところに住んでいます。
今回の仕事の為に、近場に越してきました。お金は自分持ち。
基本的には楽観的。面倒見がよく、浅く広い人間関係を好む。

謎の部分を残しておきたいので、設定になってるかわからない今日のブログですね・・・。

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2006.08.07 10:54|未分類

前の人物設定のとき、自分の名前を変えようかなって言ってたんですが。


さすがにkazuから離れてしまうと、前のブログからこちらに来ていただいている人にとって、


とてもややこしくなってしまうので、osinoという苗字?をつけました。


と、いうことで、もう何日も使ってますが、kazu osinoという名前で、こちらのブログには


書いていきたいと思います。


昨日も書きましたが、書いてある小説とほとんど(大まかはずれてませんが)ずれはじめ、


すこし、まとめなおそうかなと思ってます。


長編小説は難しいですね。でも、やはり、目指せ完結 頑張りますよ~。


では、今日の人物設定です。


沢村総一郎は、私の中で、一番可哀相な子かな。


沢村 総一郎(さわむら そういちろう)
1987年 5月20日生まれ
身長 164CM
体重 55Kg
血液型 A型

厳しい父と、環境で育った為おとなしくあまり我を出さない。
が、自分の納得のいかないこと(この範囲は限りなく狭い)にぶち当たると、絶対に折れず
どこまでも、食いついていきます。
父親と2人家族。
予備校まで、車もしくは電車(の場合は少ない)。私立の男子校に通っています。

こんなもんですかね。
私は今まで生きてきて、A型の人には面倒を見てもらうことが多いです。
あっけらかんなO型なので。
O型同士
だと、収集つかなくなります、会話も遊びも。



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2006.08.06 20:38|いつか見た あの場所で

やっと本編に入れて、ほっとしているkazu osinoです。


考えていたものと、なんだかちがくなってきてしまったので、詰まってます。


1.2日、更新まで、間が開くかも・・・。すみません。


もう一度、この後をまとめてみようと思います。


その間は、人物紹介をしていこうかなと。


また更新ですが、本編に入れましたので、、一日一回ペースでいきます。


たまに更新してなかったらごめんなさい。


出来るときは二回更新します。


ではでは、明日は、登場人物設定 沢村で。


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2006.08.05 23:18|いつか見た あの場所で

上ってきた階段とは反対側の端にある、非常階段を駆け下りる。
2階まで降りたとき、遠野の姿が見えた。
こちらではなく、バイクのエンジンをかけて道の方向を見ている。
「遠野!」
叫ぶ。
叫ぶが、もう黒服の男達が非常階段を下り始めたので待つことも出来ず、そのまま下まで一気に駆け下りる。
遠野の姿は見えない。
「沢村、とりあえず道にでようっ。」
沢村は、何も言わず・・・言えずに頷く。
後ろを振り返ると、ほんの10M位後ろに追いつかれている。
もうすぐ・・・、もうすぐ大通り・・・!
ぱっと視界が開ける。
そこには・・・、
「のれっ、沢村、相馬!」
バイクにまたがった、遠野の姿。
遠野は鞄を黒服の向けて、放り投げた。
頭にぶつかり、先を走っていた黒服がよろける。
その間に沢村が、バイクに乗った。
って、俺もかよ!
一瞬躊躇したが、沢村の後ろに乗った。
きつ・・・・っ。てか、男3人でかよぅ・・。
その途端、猛スピードでバイクが動き出す。
黒服の男たちは通りまで出たが、そのまま俺たちを見ていた。
・・・、何かおかしい・・・?
なんで、あいつら、慌ててないんだ?
遠野は信号のない裏道に入った。
「うわっっ。」
・・・とまれねぇ・・・!!

宙に浮き上がった、俺たちの体。
下には、道路をさえぎるように
横付けされた車。その隣に黒服が2.3人がたってこちらを見上げていた。

うっそだろ・・・・?!
ここまでするのか・・・・・!

コンクリの地面が、近づいてくるのを、スローモーションで、みていた。


ドクン・・・
城の最上階、大きい椅子に座っていた女性が、おもむろに大きい杖をカッと床に打ち鳴らした。
立ち上がる。
何か言葉を呟いていたが、がくっとひざを折る。
異変に気付いたか、男が一人部屋に駆け込んできた。
「呉羽(くれは)様!」
呉羽と呼ばれた女性は、直も呟きを止めない。
しばらくして、言葉が止まった。
「呉羽様・・・?」
呉羽は、ゆっくりと顔を上げた。
「コウ、最下層の水鏡の間・・・・。ついに、現れたわ・・・、この世界を・・・救ってくれる方たちが。」

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2006.08.03 22:39|いつか見た あの場所で

目の前が、黒くゆがむ。
目を開けているのに、前がかすんでよく見えない。
重心が崩れて、手すりに掴まった。
「相馬さん!」
沢村の声が、遠くで聞こえる。
沢村は、俺のほうに駆け寄ろうとしていた。
何が・・・、起こったんだろう・・・。
ぼーっとする頭で、懸命に考える。
俺の後ろから、黒い服を着た男が沢村に向かって走った。
「誰なんですっ、離せ!」
沢村が腕を掴まれて、叫んでいる。
・・・、沢村のボディーガードじゃないってことは・・・・。
少しずつ見えるようになって来た視界を、頭を振って意地で戻す。
まだ、くらくらしていたが、俺は渾身の力で鞄を振り上げ男を殴った。
「うわっっ。」
倒れていると思った俺への関心はなく、目の前の沢村だけに意識を集中させていただろうその男は、面食らって階段の上に倒れた。
「バレーボーラーをなめんなよ。」
腕の筋力には自信があるんじゃ!でも、転げ落ちないだけ、プロなのか?
そう思いつつ、沢村の腕をつかみ走り出す。
「いくぞ、沢村!」
バイク置き場は俺たちがいつもいる隣の棟の横。
ここからは、見えない。
何とか、追いつかれる前に遠野に沢村渡さないと!
沢村は、懸命に俺の横を走っている。
「相馬・・さん!!すみませんっっ。」
息切れしながら、なんとかあやまろうとしているみたいだが。
俺は、沢村を振り返らず、手を振った。
「今はいい、後でな!」
とにかくここを逃げ切らないと。

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Author:kazu osino
名前  kazu osino
生息地 関東のとある家。
英語の苦手な、ちゃっかり主婦。
ブログ内記事、文章は無断転載
転用禁止にさせていただきます。
する方、いないと思いますが。
よろしくお願いいたします。

…プロフの画像を載せる事によって、
お金が入ってきたらいいなとか
お、思ってないんだからっ(笑

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